あくびクラブ

気の向くまま出来事や思ったことを記録します。

恋の字の書き方

「恋」の字の旧字体をご存じですか?

恋という言葉は歴史がありまして、既に萬葉集にも数多く見えます。例えば、

なでしこが その花にもが 朝な朝な 手に取り持ちて 恋ひぬ日なけむ

石竹之 其花尓毛我 朝旦 手取持而 不戀日将無

408番歌(家持)

意味は

あなたが、なでしこのその花であったらいいのにな。そうしたら、毎朝毎朝、手に大切に取り持って愛で*1いつくしまない日とてないだろうに。

伊藤博萬葉集釋注二』

と言うものです。大伴家持坂上大嬢*2に贈ったとあります。いつも一緒にいたい、見ていたいという気持ちを詠んだものでしょう。かわいらしい歌で私も好きです。

そうそう、「恋」の旧字についてでした。上記408番歌の原文にあるように、「戀」と書きます。え?見えない?拡大すると下記の通り。

これです。国文の人なら知っていると思いますが、覚え方がありましてーーー

恋の字は いとし いとし という こころ

こんな洒落た読み方があるなら、旧字体のままの方がよいように思います。

しかしですね、少々問題があります。私だけかもしれませんが、この「戀」の字、書こうとするとバランスが取りづらいんです。書き順が分かりませんので取り敢えず、「糸偏」「言偏」「糸偏」の順で書くと、私の場合、必ず変な字になってしまいます。

そこで考えました。書き順を変えよう。言偏を先に中央に書き、そのあと、左の糸偏、右の糸偏としました。かなり改善されましたが、まだバランスがーー。

で、試行錯誤すること一週間。ついに編み出しました。糸偏の下の部分(小の字)を略して書くーーこれです。

いやぁ~、なんとなくバランス良くないですか?国語や書道の先生には怒られるかもしれませんが、まあ良いでしょう。

こんなことばっかりやってるから、ものごとが進まない・・・

秋の夜長、萬葉集片手にカフェラテで一服します。

 

 

*1:「めでる」の「めで」。ここでは「あいで」とは読まない。

*2:「さかのうえのおおいらつめ」と読みます。家持の従妹(いとこ)に当たり、後に結婚する。